為替を入れて日米セクターを比べる——円建て+5%がドル建てでは±0%になる理由
セクターの表は、それぞれの市場を自国通貨で表示します。米国はドル建て、日本は円建て。各市場で何が起きたかを見るにはこれが正解です。ただし「どちらの市場が自分にとって良かったか」を判断するには、両方の通貨で資産を持っていない限り、そのままでは比べられません。教育目的であり、投資助言ではありません。
基本の計算
円で資産を持つ投資家が米国株を持つ場合、円で見たリターンはおおよそ次のとおりです。
円建てリターン ≈ ドル建てリターン + ドルの対円での変化率
正確には (1 + ドル建てリターン) × (1 + ドルの変化率) − 1。小さな変化なら単純な足し算で十分近い値になります。
逆向きの例で考えます。日本のある業種が1カ月で円建て +5%。同じ1カ月で円がドルに対して4%下落したとします。ドルで資産を管理する海外投資家のリターンは (1.05 × 0.96) − 1 ≈ +0.8%。東京では本物だった「+5%」が、ニューヨークからはほとんど見えません。
日本の業種では為替が二重に効く
為替は日本株のリターンの上に乗るだけでなく、リターンそのものも動かします。円安は輸出企業(自動車・輸送機、電機・精密、機械)の円換算の業績を押し上げやすく、燃料や原材料の輸入企業には重荷になりやすい。そのため円安の月には、
- 円建てでは輸出業種が強い、
- その強さの一部が、海外投資家には為替で相殺される、
という形がよく見られます。円高の月にはおおむね逆になり、内需業種(小売、食品、電力・ガス)が海外投資家から見て円建て以上に良く見えることがあります。
公平に比べる3ステップ
- まず各市場を自国通貨で読む:現地の市場が何を考えたかがわかります。
- 同じ期間の為替の動きをメモする:1週または1カ月でドル円がどれだけ動いたか、数字1つで十分です。
- 市場をまたいで比べるときだけ換算する:「日本の銀行か、米国の金融か」を比べるなら、両方を同じ通貨にそろえてから比べます。
この比較で使う日本側の換算前の数値は、円建てのセクター騰落率で確認できます。
為替ヘッジあり・なし
外国株に投資するファンドには為替ヘッジ付きのものがあり、為替の項をおおむね取り除きます(コストは両国の金利差に左右されます)。ヘッジありなら現地通貨建てのリターンが体感に近く、ヘッジなしなら、見ていようがいまいが為替の項は自分の結果の一部です。
現地通貨の数字を並べて見る
下の Sector Pulse では、米国セクターをドル建て、TOPIX-17業種を円建てで、1週・1カ月・年初来を並べて表示しています。同じ期間のドル円の変化を1つ足すだけで、条件をそろえた比較になります。
Sector Pulse日本(TOPIX-17業種)と米国(SPDRセクター)の週次騰落率をまとめます。どこが買われ、どこが売られ、日米でどう食い違ったか。データの記録であり、投資助言ではありません。
Sector Pulse を無料で見る →
- PaperLens — AI・半導体の論文解説メディア(購読制)。