事例Ⅰ〜Ⅲの切り口ストック:設問タイプ別に使う定番フレーム
2次試験の答案が安定しない原因の多くは、「何を書くか」を毎回ゼロから考えていることにある。実際には設問タイプごとに使う切り口はほぼ決まっている。決まっているものは事前にストックしておき、本番では当てはめるだけにする。
設問は4タイプに分かれる
問われ方を分類すると、事例Ⅰ〜Ⅲの設問はおおむね次の4つに収まる。
| タイプ | 問われ方 | 書くもの |
|---|---|---|
| 分析 | 強み/弱み/特徴を述べよ | 与件の事実+それがなぜ強みなのか |
| 理由 | 理由を述べよ/なぜか | 因果。原因→結果の順で1本の線にする |
| 課題 | 課題は何か/問題点を述べよ | あるべき姿と現状の差 |
| 助言 | 助言せよ/提案せよ | 施策+期待効果。制約条件を必ず踏まえる |
最初の5分で設問文を読むとき、まずこの4つのどれかに仕分ける。仕分けを間違えると、内容が正しくても点にならない。理由を問われて施策を書けば0点に近い。
タイプ別の切り口ストック
分析(強み・特徴)
事例Ⅰなら人・組織、事例Ⅱなら顧客・商品・チャネル、事例Ⅲなら技術・生産体制に切り口が寄る。
- 事例Ⅰ:技術者の熟練度、一貫した採用・育成、権限委譲、経営者の理念
- 事例Ⅱ:固定客との関係、立地、品揃えの独自性、地域の連携先
- 事例Ⅲ:短納期対応力、多品種少量への対応、特殊加工の技術、一貫生産
強みは与件に書いてある事実でしか書けない。一般論の強み(例:「従業員のモチベーションが高い」)を根拠なく書かない。
理由
因果を1本にする。「A社は〜という状況にあり(原因)、その結果〜となったため(結果)」。
途中に複数の要因を並べたくなるが、字数が100字なら因果は1本、多くて2本。並べるほど1本あたりの説明が薄くなり、採点者にとっての読みやすさが落ちる。
課題
課題は「困っていること」ではなく、あるべき姿と現状の差として書く。与件に社長の方向性(「今後は〜していきたい」)があれば、それがあるべき姿になる。社長の思いは課題設定の材料として最も強い。
助言
助言は施策+効果が原則。さらに制約条件を踏まえる。
- 事例Ⅰ:組織構造、評価・報酬、採用・育成、権限
- 事例Ⅱ:誰に(ターゲット)、何を(商品)、どのように(チャネル・販促)、そして関係性の強化
- 事例Ⅲ:生産計画、生産統制、標準化、情報共有(DBの整備)、外注管理
事例Ⅱの助言は「誰に・何を・どのように」の3点を明示すると、字数の割に情報量が高くなる。中小企業なので、投資が重い施策は基本的に選ばない。既存の経営資源を活かす方向で書くと外れにくい。
切り口を「ストック」として持つ意味
これらは知識としては1次で学んだものばかりで、目新しさはない。差がつくのは、本番の80分で思い出せる形になっているかだ。
やり方は単純で、過去問を解くたびに「今回どの切り口を使ったか」を1行でメモし、事例別に貯めていく。試験1週間前には、事例ごとに10〜15個の切り口リストが手元にある状態になる。当日の朝はそれだけ見ればいい。
使うときの注意
切り口はあくまで思い出すための道具であって、答案の中身ではない。与件の事実に紐づけずに切り口だけを書くと、いわゆる「一般論答案」になって点が伸びない。
順番はいつも同じでいい。設問タイプを判定 → 該当する切り口を想起 → 与件の事実で裏づけ → 制約条件を確認 → 書く。この順で処理できるようになれば、初見の事例でも書き出しで固まらなくなる。
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