2次試験の80分をどう割るか — 与件文の読み方と時間配分の型
2次筆記試験で落ちる理由の多くは、知らなかったからではない。書き切れなかった、あるいは設問の要求とずれたまま書いたからだ。どちらも時間管理の問題で、対策は「型を決めて毎回同じ順番で処理する」ことに尽きる。
80分の標準配分
事例Ⅰ〜Ⅲの目安。人によって多少前後するが、大枠はこう置く。
| 時間 | やること |
|---|---|
| 0〜5分 | 設問文を先に読む。制約条件と字数に印をつける |
| 5〜20分 | 与件文を読む。設問との対応づけをしながら |
| 20〜35分 | 骨子を組む。各設問に使う与件の箇所を確定 |
| 35〜75分 | 記述(4〜5問なら1問8〜10分) |
| 75〜80分 | 見直し。誤字・主述・字数 |
重要なのは35分の時点で必ず書き始めるという一点だ。骨子が固まっていなくても書き始める。書きながら整うことは多いが、書かなければ0点なのは確実だからだ。
与件文より先に設問文を読む
これが型のなかで最も効果が大きい。
設問を先に読むと、与件文が「情報の羅列」から「答えを探す対象」に変わる。読みながら「これは第2問で使う」と当たりがつくので、二度読みが減る。
設問文を読む段階でやること:
- 問われ方に印をつける。「述べよ」「助言せよ」「理由を述べよ」で、書くべき中身が変わる。助言なら施策と効果、理由なら因果を書く。
- 制約条件に印。「A社の強みを踏まえて」「〜を除いて」「中小企業診断士として」といった限定は、外すと大きく減点される。
- 字数を確認。100字なら要素2〜3個、60字なら1〜2個と、入る量が決まる。
与件文の読み方
丁寧に読むのではなく、印をつけながら読む。読み返す回数を減らすのが目的だ。
- 強み・弱み・機会・脅威に別々の印。事例Ⅰ〜Ⅲはここから解答要素を拾うことが多い。
- 時系列の転換点(創業、事業転換、設備投資、代替わり)は、設問の背景になりやすい。
- 数字と固有名詞は使われるために置かれている。従業員数、店舗数、シェア、年数。
- 社長の発言や意向は、そのまま解答の方向性であることが多い。「〜したいと考えている」は事実上の出題意図。
- 段落番号を振る。骨子を組むときに「第3段落の内容」と参照できると速い。
やらないほうがいいのは、色ペンを何本も使って凝った色分けをすることだ。判断の回数が増えて遅くなる。2〜3種類で足りる。
解答は与件から離れない
2次試験は知識を披露する試験ではない。与件文に書いてあることを、設問の要求に沿って再構成する試験だ。
- 与件にない一般論を書くと点が伸びない。「従業員のモチベーションを高める」だけでは、どの事例にも当てはまってしまう。
- 与件の言葉を可能な限りそのまま使う。言い換えると、採点者にとって根拠が追いにくくなる。
- 因果を明示する。「〜により、〜が向上する」の形にすると、要素を並べただけの解答より伝わる。
書き切れないときの判断
本番では必ず起きる。優先順位はこう決めておく。
- 全設問に何かを書く。白紙が最も損失が大きい。配点の大きい設問を完璧に書いて他を白紙にするより、全部に埋めたほうが期待値が高い。
- 書きかけの設問を切り上げる。残り時間が少ないなら、いま書いている解答を80点の出来で止めて、次に移る。
- 字数は8割を目安に。100字なら80字以上。極端に短いと要素が足りず、超過すると書けない。
残り10分で2問空いている、という状況を一度でも経験しておくと、本番で慌てなくなる。そのためにも演習は必ず80分計って行う。
演習の質を上げる一手
解いた後に、「時間が足りなかったのか、要求とずれたのか」だけを毎回記録する。
- 時間が足りない → 配分か読むスピードの問題。型を見直す。
- 要求とずれた → 設問解釈の問題。制約条件の読み落としを疑う。
原因が2種類に分かれるだけで、次にやるべきことがはっきりする。模範解答と自分の答案を眺めて「なんとなく違う」で終わらせるより、はるかに改善が速い。
まとめ
80分の型を決め、毎回同じ順番で処理する。設問を先に読み、印をつけながら与件を読み、35分で書き始め、白紙を作らない。この5つを崩さないだけで、同じ知識量でも点数は変わる。10月までに、この型を無意識にできるところまで反復しておきたい。
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