事例Ⅳの経営分析:指標の選び方と「優れている・劣っている」の書き方
事例Ⅳの第1問によく出る経営分析は、計算そのものより「どの指標を選ぶか」と「なぜそう言えるか」で差がつく設問だ。計算は割り算なので、指標選びと記述の型さえ決まっていれば安定して点が取れる。
3つの観点と代表的な指標
まずは観点を3つに固定し、それぞれで使う指標を絞っておく。
| 観点 | よく使う指標 | 何を見るか |
|---|---|---|
| 収益性 | 売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率 | 利益を生む力。原価・販管費・営業外のどこに問題があるか |
| 効率性 | 有形固定資産回転率、売上債権回転率、棚卸資産回転率 | 資産を売上につなげる力 |
| 安全性 | 自己資本比率、負債比率、流動比率、当座比率 | 返済能力・財務の安定性 |
指標を覚える量を増やすより、上の表の中から選べる状態にしておくほうが本番で速い。
指標は「与件文」から選ぶ
財務諸表を眺めて一番差が大きい指標を選ぶのではなく、与件文に書かれた事実と結びつく指標を選ぶ。
- 「原材料価格の高騰」「値引き販売」→ 売上高総利益率
- 「人件費の増加」「広告宣伝の強化」→ 売上高営業利益率
- 「借入金による設備投資」→ 有形固定資産回転率、負債比率
- 「在庫の増加」「売れ残り」→ 棚卸資産回転率
- 「借入依存」「利息負担」→ 売上高経常利益率、自己資本比率
与件文と結びついた指標を選ぶと、次に説明する記述の根拠もそのまま書ける。財務諸表の数字だけで選ぶと、記述で「なぜ」を書けなくなりやすい。
同業他社比較か、前年比較か
設問の比較対象を必ず確認する。同業他社比較なのか当社の前年比較なのかで、読むべき与件の箇所が変わる。前年比較なら「今年起きた変化」、同業他社比較なら「当社の特徴(強み・弱み)」が根拠になる。
記述の型:「指標名+原因」
経営分析の記述問題(40〜60字程度)は、次の型で書く。
〇〇率が低く(高く)、△△により□□が増加(減少)しているため、収益性(効率性・安全性)が劣る(優れる)。
例:
売上高総利益率が低い。原材料価格の上昇を販売価格に転嫁できず、売上原価が増加しているため収益性が劣る。
ポイントは3つ。
- 指標名を正確に書く。 「利益率」ではなく「売上高営業利益率」。
- 原因は与件文の言葉を使う。 一般論(「コスト管理が不十分」だけ)にしない。
- 優れている指標も1つ入れることが多い。 「優れている点と課題を1つずつ」の形式で問われることがあるので、設問の指定を確認する。
迷ったときの優先順位
指標が複数候補に割れたときは、次の順で決める。
- 与件文に明確な根拠がある指標
- 比較対象と差が大きい指標
- 設問の他の問(CVPや投資判断)とつながる指標
3番目は見落とされやすい。後の設問で損益分岐点や設備投資を扱っているなら、第1問の経営分析もそれと矛盾しない指標を選ぶと、事例全体の答案が一貫する。
まとめ
観点を3つに固定し、与件文から指標を選び、「指標名+原因」の型で書く。経営分析は事例Ⅳの中で最も型が効く設問なので、ここを取りこぼさないことが事例Ⅳの足切り回避に直結する。
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