診断士RoadMap ブログ中小企業診断士、合格までの一本道。

診断士 事例1の切り口|組織・人事を戦略に合わせて読む型

· 事例I, 2次試験, 組織人事, 解き方

事例Iが苦手な人ほど、与件文の強みと弱みをそのまま答案に並べます。しかし中小企業診断士2次試験の事例Iは、社長の思いを要約する科目ではありません。差がつくのは、強み弱みを、戦略と組織の整合、人事施策に落とせるかです。

2次筆記は4事例が各100点・80分、合格基準は合計240点以上かつ各事例40点以上です。令和8年度(2026年度)から口述試験は廃止され、筆記試験の合格発表が最終になります。事例Iは高得点を狙うより、組織・人事の論点から外れない答案を安定して作る科目として扱います。

つまずく本質は強み弱みの置き場所

診断士 事例1 切り口で迷う原因は、知識不足だけではありません。多くの場合、与件文の情報を「どの箱に入れるか」が曖昧です。老舗ブランド、技術力、ベテラン社員、属人的営業、後継者不足、部門間の壁。これらは単独では答案になりません。

たとえば「技術力が高い」は、差別化戦略を支える強みなら戦略面の根拠になります。一方で、技術が特定社員に偏っているなら、育成・権限委譲・標準化の論点になります。同じ言葉でも、設問が問うている場所によって使い方が変わります。

解法の型は2つの箱で整理する

事例I 組織 人事 解き方の基本は、与件文を次の2つの箱に分けることです。

箱 見る内容 答案での使い方
戦略と組織の整合 既存事業、新規事業、成長方向、権限、部門構造、連携 戦略を実行できる組織体制かを判断し、分業・統合・権限委譲を書く
人事施策 採用、育成、評価、報酬、配置、モラール、定着 必要な人材を確保・育成し、行動を促す仕組みとして書く

この表を使うと、答案の方向がぶれにくくなります。新規事業を進めたいのに、既存部門の兼任だけで進めているなら、組織面では専任化や部門横断連携が候補になります。若手が育たずベテラン依存なら、人事面ではOJT、技能承継、評価制度、権限委譲が候補になります。

与件文と設問要求はセットで読む

与件文を読むときは、良い情報だけに線を引かないでください。事例Iでは、強みだけでなく、強みを使い切れない理由が重要です。

見る順番は、まずA社の方向性です。市場を広げるのか、既存顧客を深掘りするのか、新商品を出すのかで、必要な組織能力が変わります。次に、現在の組織の詰まりを見ます。社長への権限集中、部門間連携不足、営業と製造の情報共有不足、ベテラン依存などです。

最後に、人の問題へ落とします。採用で補うのか、配置転換で対応するのか、教育で底上げするのか、評価・報酬で行動を変えるのかを分けます。「人材を育成する」とだけ書くと弱いです。誰に、何を、どの目的で育成するかまで書きます。

オリジナルの設問例で考えます。

「A社が新規法人顧客向けサービスを拡大するため、組織面で留意すべき点を助言せよ」と問われた場合、中心は人事制度ではなく組織設計です。答案は「既存営業任せにせず、法人対応の担当を明確化し、開発・営業・顧客対応の情報共有を図ることで、顧客要望をサービス改善へ反映する」のように組みます。

一方で、「若手社員の定着と戦力化に向けた人事施策を助言せよ」なら、組織図の話に寄せすぎません。答案は「ベテランとのOJT、段階的な権限委譲、成果と育成過程を反映した評価、キャリアの見える化により、能力向上とモラール向上を図る」とします。

設問文の「組織面」「人事施策」「留意点」「助言」は、答案の箱を指定する言葉です。ここを読み飛ばすと、与件文の材料は合っていても点になりにくくなります。

やってはいけないこと

まず、一次知識をそのまま貼り付けることです。機能別組織、事業部制、成果主義、ジョブローテーションといった言葉は、A社の状況に合って初めて使えます。

次に、弱みを批判だけで終えることです。「属人的である」は問題点ですが、答案では標準化、共有化、育成、権限委譲などの施策へつなげます。

最後に、戦略と人事を切り離すことです。新規事業を伸ばすなら、それを担う人材の採用・育成・評価が必要です。既存顧客を深掘りするなら、顧客情報の共有や提案力の強化が必要です。事例Iの答案は、戦略を実行するために組織と人をどう整えるか、という一本の線で書きます。

学習アプリ『診断士RoadMap』について

本ブログは、学習アプリ『診断士RoadMap』の運営元であるTechAthletesが運営しています。事例Iは、解説を読んだだけでは切り口が定着しにくい科目です。短い事例演習で、与件文の強み弱みを「戦略と組織の整合」「人事施策」に分けて書く練習が必要です。

事例Iの論点解説ページでは、組織・人事の考え方を確認できます。診断士RoadMapの事例演習やAI採点、プレミアムのAI添削を使うと、自分の答案が設問要求からずれていないかを確認しやすくなります。

診断士RoadMap
中小企業診断士の独学・科目別の勉強法・2次試験対策を、合格までの地図としてまとめる公式ブログ。
診断士RoadMap を無料で使う →
TechAthletesの他のサービス
  • PaperLens — AI活用支援など、診断士としての引き出しを増やしたい方向けのAI/技術解説メディア(購読制)。